超ローコストクリニックの実現に向けて « 株式会社 志賀設計

病院・クリニック

超ローコストクリニックの実現に向けて

社内インタビュー

D01

「生産システムを考える」

松尾:クリニックの新規開業にとって、昨今の建設コストの上昇は非常に高いハードルになっています。開業費用のなかで最も大きな比率を占める建設費を抑えることは、設計者の最大の使命となっているのですが・・・クリニックの開業における施設建設の予算は、一般的に4000万~6000万円と言われていますが、最近のクリニックの建設単価はどんな動きをしていますか?

瀬戸:去年後半からやや落ち着いた感はありますが、依然高値が続いていますね。福岡県下で300㎡以下のクリニックの場合、単価で言えば坪当たり90万~100万円、ちょっと手の込んだデザインだと坪当たり120万円ぐらいかかった例もあります。

松尾:それだと、予算から逆算して延べ床面積50坪前後の建物規模が精いっぱいという感じです。リハビリ部門の設置や充実したインテリア、駐車場、看板サインの整備はちょっと難しいですね。

瀬戸:そうです。設計者には効果的で確実なコストの圧縮技術が求められています。コストダウンの手法として、これまで一般的だった鉄骨造や鉄筋コンクリート造を用いるのはもう限界だと思います。その理由として、ひとつは建物の総重量が重くなること。そのぶん杭や基礎や柱梁に負担が掛かってサイズが大きくなります。ふたつ目は鉄骨造も鉄筋コンクリート造も現場作業が多いこと。今、建設業界で一番不足しているのは人手ですから、人手の掛かる現場作業が増えるのはコスト的に絶対不利です。

松尾:建物が軽量化できて現場作業が少ない建築と言われると、工場生産を多用したプレファブ方式の生産システムが思い浮かびます。プレファブと言うと、仮設事務所や倉庫などをイメージしてしまいますが、質の高いデザインが求められるクリニック施設にも利用可能なのでしょうか?

瀬戸:可能です。若干の制約はあるのですが、最近のプレファブシステムはかなりのデザイン処理ができます。最近のいくつか計画の実例を見せながら具体的に説明しましょう。

「超ローコストクリニックの実例」

つつみ2のコピー瀬戸:ひとつ目は福岡県柳川市で計画した内科の無床クリニック『Tクリニック』です。2階建て延べ床面積355㎡(107坪)、本体工事費が7,100万円ですから坪単価は66万円(税別)です。延べ床面積が100坪を超えるのは、第2診察室、内視鏡検査、点滴ベッド3台、美容クリニック、スタッフ会議室などかなり盛りだくさんの機能が要求されているためです。仕上げのグレードは中程度ですので、設備や内外装のグレードをもう少し下げると坪単価を60万円程度に抑えることが可能です。

松尾:従来の鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物とデザイン面でなんら遜色がありませんね。単価も30%~40%圧縮されていますね。このプレファブシステムであれば、設計と施工のスケジュールもかなり短縮できるんじゃないでしょうか?

_Nクリニック瀬戸:この計画に要する工期は、設計が2ヶ月、建築確認手続きが1ヶ月、工事が4ヶ月で合計7ヶ月ですから、従来の建物に比べて設計で2ヶ月、工事で2ヶ月、合計4ヶ月は短縮しています。開業準備期間にかかる経費や金利もかなり削減できるはずです。ふたつ目は福岡県大野城市で計画したやはり内科の無床クリニック『N診療所』です。こちらは、2階建て延べ床面積296㎡(89坪)で、本体工事費が5,200万円ですから坪単価は58万円(税別)です。診察室3室、点滴ベッド3台、CTスキャナー室、スタッフ会議室などが附置された計画です。これも設計着手から完成まで約7ヶ月です。

松尾:開業をお考えのドクターにとっては、プレファブ方式の建築システムは資金調達の負担を大いに助けてくれる優れたシステムですね。

瀬戸:ローコストのさらに上をゆく「超ローコストクリニック」として、今後普及してゆくと考えています。

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